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経営企画室のリーダーに必要な資質。頭の良さより大切なもの

経営企画室のリーダーを誰に任せるか。この問いに、明確な答えを持っている経営者はどれほどいるでしょうか。MBA取得者や大手出身のキャリア人材を据えてみたものの、現場との溝が深まるだけだった。そんな声を、私たちは何度も耳にしてきました。

結論から言えば、経営企画室のリーダーに求められるのは頭の良さではありません。「社長の言葉を現場に届け、現場の本音を社長に届ける」という翻訳者としての覚悟です。戦略を描く力よりも、人と人の間に立ち続ける胆力のほうが、はるかに組織を動かします。

本記事では、地方の中小企業で経営企画室を率いるリーダーに必要な資質を3つの視点から掘り下げます。教科書的な理想像ではなく、現場で泥にまみれながら組織を前に進めるために本当に必要なものを、具体的にお伝えします。

経営企画室のリーダーが最初にぶつかる壁は「正しさ」である

あなたの会社で経営企画室を任された人材は、最初に何をするでしょうか。多くの場合、中期経営計画の策定やKPIの設計など「正しい仕事」から着手します。しかし、ここに最初の落とし穴があります。正しいことを言っているのに、現場が動かない。論理的に正しい計画が、なぜか社内で浮いてしまう。

一般的には「経営企画のリーダーには分析力と論理的思考力が不可欠」と言われます。間違いではありません。ただ、地方の中小企業では、正しさだけで人は動きません。20年選手の工場長も、入社3年目の営業担当も、頭では分かっていても感情が追いつかない場面が山ほどあります。「言っていることは正しいけど、あの人には言われたくない」。この一言で、どれだけの改革が止まってきたことか。

経営企画室のリーダーに必要なのは、正しさを振りかざすことではなく、正しさを「この人が言うなら聞いてみよう」に変換する関係構築力です。それは資料の精度ではなく、現場に足を運んだ回数で決まります。

経営と現場の「翻訳者」になれるリーダーの条件

社長の孤独と現場の不満、両方を知っている人

社長は社長で孤独です。「なぜ伝わらないのか」「なぜ変わらないのか」と、夜中に一人で考え込んでいる。一方、現場は現場で不満を抱えています。「また上が勝手に決めた」「現場を分かっていない」。経営企画室のリーダーは、この断絶の真ん中に立つ人間です。

あなたの社内で、社長室にも現場にも出入りできる人材は誰でしょうか。どちらか片方だけに信頼されていても機能しません。社長の意図を現場の言葉に翻訳し、現場の実態を経営判断に使える情報へと変換する。この往復運動ができるかどうかが、リーダーとしての分かれ目です。

嫌われる覚悟を持てるか

翻訳者であるということは、ときに双方から嫌われることを意味します。社長に対して「現場はこう感じています」と率直に伝え、現場に対して「社長の判断にはこういう背景があります」と説明する。どちらにも耳の痛いことを言う場面が必ず出てきます。八方美人では、この役割は務まりません。

経営企画室のリーダーに求められるのは、全員に好かれることではなく、全員から「あの人は嘘をつかない」と思われることです。信頼は、好感度とは別の場所にあります。

「仕組み」より先に「一歩目」を踏み出せるリーダーが組織を変える

経営企画室を立ち上げると、制度設計や会議体の整備に時間を費やしがちです。もちろん仕組みは必要です。しかし、仕組みが整うのを待っていたら、現場の信頼は先に枯れます。大手コンサルが作る綺麗なフレームワークが機能しないのは、この順番を間違えるからです。

たとえば、全社横断の会議体を設計する前に、まずは各部署のキーパーソンと1対1で30分ずつ話してみる。数字の分析を始める前に、現場の作業を半日見学してみる。そうした一歩目の泥臭さが、後の仕組みに血を通わせます。あなたが任命しようとしているリーダー候補は、この一歩目を自分から踏み出せる人でしょうか。

計画書の出来栄えよりも、翌朝の行動が速いかどうか。この一点を見れば、その人が経営企画室のリーダーとして機能するかどうかが分かります。先に動く人の周りに、結果として仕組みが生まれていくのです。

まとめ:経営企画室のリーダーに必要な資質とは

本記事でお伝えした内容を3つに整理します。

  1. 正しさだけでは人は動かない。現場に足を運び、「この人の話なら聞こう」と思われる関係を先に築くこと。
  2. 経営と現場の翻訳者として、双方に耳の痛いことを言える胆力を持つこと。信頼は好感度の先にある。
  3. 仕組みの前に一歩目を踏み出せること。泥臭い行動の積み重ねが、後から仕組みになる。

経営企画室のリーダー選びに、完璧な正解はありません。ただ、頭の良さや経歴の華やかさだけで選ぶと、組織は動かないまま時間だけが過ぎていきます。社長の孤独と現場の本音、その両方に手を伸ばせる人を見つけること。あるいは、そういう人を育てる環境を整えること。それが、あなたの会社の経営企画室を本当に機能させる第一歩です。

迷ったら、まず一人と話すところから始めてみてください。

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