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経営企画室のメンバー構成。何人から始めるのが現実的か

経営企画室のメンバーをどう集めるか。何人から始めるべきか。アトツギとして経営を引き継いだ、あるいは引き継ごうとしているあなたが、一度は頭を悩ませるテーマではないでしょうか。ネットで調べれば「3〜5名が理想」「多様なスキルセットを揃えよ」といった教科書的な回答は出てきます。しかし、地方の中小企業でその通りにできるなら、そもそも悩んでいません。

結論から言います。経営企画室は「1人」から始めてください。正確には、社長であるあなたと、もう1人。この2人体制が、地方中小企業にとって最も現実的で、最も成果につながるスタート地点です。

本記事では、経営企画室のメンバー構成について、人数の考え方、どんな人材を選ぶべきか、そして立ち上げ初期に陥りがちな落とし穴まで、現場目線で解説します。

経営企画室のメンバーは「最小人数」が正解である理由

大手企業の経営企画室は、財務分析、市場調査、中期計画策定など機能ごとに担当者がいます。書籍やセミナーでも「専門人材を揃えましょう」と語られがちです。しかし、この考え方をそのまま地方の中小企業に持ち込むと、組織が動く前に止まります。そもそも、経営企画の経験者が社内にいること自体がまれです。

人数を増やせば動けるわけではありません。むしろ逆です。3人集めた瞬間、「誰が何をやるのか」の整理に時間を取られ、会議が増え、現場から「あの人たちは何をしているのか」と冷たい目で見られる。経営企画室の立ち上げで最も怖いのは、成果が出る前にメンバーの居場所がなくなることです。あなたの会社にも、過去に作ったものの自然消滅した「委員会」や「プロジェクトチーム」はありませんか。

だからこそ、最初は1人。社長の右腕として動ける人間を1人選び、小さく始める。これが鉄則です。成果が見えてから人を足しても遅くはありません。

経営企画室のメンバーに必要なのは「スキル」ではなく「信頼」

では、その1人目をどう選ぶか。MBAホルダーや財務のプロを外から採用すべきでしょうか。私たちの経験では、それは多くの場合うまくいきません。スキルの高い外部人材が入っても、現場の文脈がわからなければ動けない。古参社員との間に見えない壁ができ、情報が集まらない。結果として「頭はいいけど、うちのことをわかっていない人」というレッテルが貼られて終わります。

最初の1人に求めるべきは、社長と現場の両方から信頼されていることです。営業でも製造でも管理部門でも構いません。社内の空気を読め、社長の言葉を現場に翻訳でき、現場の本音を社長に伝えられる人。そういう人は、どの会社にもたいてい1人はいます。ただ、今は別の仕事をしているだけです。あなたの会社で「この人がいないと回らない」と言われている人物を思い浮かべてみてください。その人が候補かもしれません。

スキルは後から身につきます。しかし、信頼は後から作ろうとすると半年、一年とかかる。立ち上げ初期の経営企画室にとって、時間こそ最大の敵です。

メンバーを増やすタイミングと「2人目の落とし穴」

1人目が動き始め、経営課題の棚卸しや部門間の調整が回り出したら、2人目を検討する段階です。ここで多くのアトツギ企業がつまずくポイントがあります。それは「1人目と同じタイプを選んでしまう」ことです。社長と相性がいい人をもう1人入れると、経営企画室が社長の分身集団になり、現場との距離がさらに開きます。

2人目に必要なのは、1人目と異なる視点を持つ人材です。1人目が現場寄りなら、2人目は数字に強い人。1人目がベテランなら、2人目は若手。意図的に「違い」を設計することで、経営企画室の中に健全な緊張感が生まれます。この緊張感こそが、社長のイエスマン集団にならないための安全装置です。

増員のタイミングは「忙しくなったから」ではなく「経営企画室として扱うテーマが増えたから」で判断してください。人が足りないのではなく、論点が増えた。その見極めができるかどうかが、組織として根づくかどうかの分岐点になります。あなたは今、人を増やしたいのか、それとも課題を整理したいのか。どちらでしょうか。

外部パートナーという「もう1つの選択肢」

社内に適任者がいない。あるいは、いるけれど今の業務から外せない。そういう現実は珍しくありません。経営企画室の立ち上げで「人がいないから始められない」と足踏みする企業を、私たちは数多く見てきました。

ここで検討すべきが、外部パートナーの活用です。ただし、コンサルタントに戦略レポートを作ってもらうという意味ではありません。社長の隣に座り、現場に入り、泥臭い調整ごとを一緒にやる。そういう「実行の伴走者」が必要です。レポートは棚に並ぶだけですが、一緒に動いた経験は社内に残ります。外部の力を借りながら、社内メンバーを育てていく。この順番を間違えなければ、経営企画室は確実に根づきます。

まとめ:経営企画室のメンバー構成で迷ったら思い出してほしい3つのこと

  1. 経営企画室は1人から始める。社長ともう1人の「2人体制」が最も現実的なスタートライン。
  2. 最初のメンバーに必要なのはスキルより信頼。社長と現場の間を行き来できる人を選ぶ。
  3. 人を増やす判断基準は「忙しさ」ではなく「テーマの広がり」。焦って増やせば空中分解する。

完璧なメンバーが揃うのを待っていたら、いつまでも始められません。経営企画室は、走りながら形にしていくものです。あなたの会社には、あなたの会社にしかない強みがあります。それを言語化し、戦略に変え、現場に届ける。その最初の一歩を、今日踏み出してください。

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