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経営企画室の構築で最初にやること。現場ヒアリングから始める理由

経営企画室の構築を考え始めたあなたは、おそらくこんな状況にいるのではないでしょうか。現場は日々の業務で手一杯。数字の取りまとめは社長が一人でExcelに向かい、中長期の戦略を語る相手もいない。「このままでは会社が回らなくなる」という焦りだけが、静かに膨らんでいる。

結論から言います。経営企画室の構築で最初にやるべきことは、組織図を描くことでも、中期経営計画を策定することでもありません。現場へのヒアリングです。それも、経営者が聞きたいことを聞くのではなく、現場が言えずにいることを拾いに行く。そこからしか、機能する経営企画室は生まれません。

この記事では、なぜ現場ヒアリングが起点になるのか、具体的に何を聞くのか、そしてヒアリング結果をどう経営企画室の設計につなげるのかを解説します。

経営企画室の構築が「計画づくり」から始まると失敗する理由

教科書的なアプローチでは、経営企画室を立ち上げるとき、まずミッション定義や中期経営計画の策定から入ることが多いです。大手コンサルが持ち込む支援プログラムも、たいていこの順番で設計されています。しかし、地方の中小企業でこの順番をなぞると、ほぼ確実に空回りします。

なぜか。計画を立てる前提となる「社内の現実」が、経営者にすら正確に見えていないからです。古参の部長が何に不満を持っているのか。製造と営業の間でどんな情報が途切れているのか。誰がどんな判断を、どんな根拠でしているのか。これらを把握しないまま描いた計画は、現場にとって「また上が勝手に決めたこと」になります。あなたの会社で、過去に立てた計画が棚の上で眠っていないでしょうか。

経営企画室の構築で最初に必要なのは、戦略の正しさではなく、現場との接続です。接続なき企画室は、ただの「社長の別室」で終わります。

現場ヒアリングで聞くべきこと、聞いてはいけないこと

聞くべきは「困っていること」ではなく「諦めていること」

ヒアリングというと、「現場の課題を吸い上げる」というイメージを持つ方が多いかもしれません。ただ、正面から「何か困っていますか」と聞いても、返ってくるのは当たり障りのない回答か、目の前の不満だけです。本当に拾うべきは、現場がとっくに諦めて口にしなくなったことです。

たとえば、「以前は提案したけど通らなかったこと」「前の社長の時代から変わらないまま放置されていること」「自分の仕事ではないと思って見て見ぬふりをしていること」。この層に触れたとき、初めて経営と現場の断絶の本当の深さが見えてきます。

聞いてはいけないのは「経営への評価」

一方で、「社長のやり方をどう思うか」といった質問は避けるべきです。これは社員を踏み絵に立たせる行為であり、信頼関係を壊します。ヒアリングの目的はあくまで、組織の中で情報や判断がどう流れているかという構造の把握です。人の評価ではなく、仕組みの観察に徹する。ここを間違えると、ヒアリング自体が社内に不信感を撒く結果になります。あなたが聞きたいことと、現場が話せることは、別物だという前提を持てるかどうかが分かれ目です。

ヒアリング結果を経営企画室の設計に変換する方法

現場の声を集めたあと、それをどう経営企画室の機能設計に落とし込むか。ここが最も泥臭く、かつ腕の見せどころです。私たちが現場で繰り返してきたのは、ヒアリングで出てきた事実を「経営課題の翻訳」に変える作業です。

たとえば、営業部門から「製造の納期が読めない」という声が出たとします。これは単なる製造部門の問題ではなく、部門間の情報共有の仕組みが存在しないという構造課題です。経営企画室が最初に担うべき機能は、この「横串」を通す役割だと見えてきます。壮大な戦略立案ではなく、部門間の翻訳者として動くこと。これが地方中小企業における経営企画室の、最も現実的な初期機能です。

もうひとつ押さえておくべき点があります。ヒアリングで見えた課題をすべて解決しようとしないことです。最初の半年で手をつけるテーマは、多くても3つ。現場が「これは変わった」と実感できる小さな成果をひとつ出すことが、経営企画室の存在意義を社内に証明する唯一の方法です。あなたの会社で、最初に横串を通すべき場所はどこでしょうか。

まとめ:経営企画室の構築は、聞くことから始まる

本記事の要点を整理します。

  1. 経営企画室の構築で最初にやるべきは、計画策定ではなく現場ヒアリングである
  2. ヒアリングでは「困っていること」より「諦めていること」を拾いに行く
  3. 集めた声を構造課題に翻訳し、経営企画室の初期機能を「横串の翻訳者」に絞る

経営企画室は、つくった瞬間に価値が生まれるものではありません。現場の声を聞き、小さな成果を積み、「あの部署があってよかった」と思われる日を自分たちの手でたぐり寄せていく。その地道な積み重ねの先にしか、本当に機能する企画室は存在しません。

まずは、現場に足を運ぶことから始めてみてください。

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