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経営企画室を設置する目的とは。「戦略作り」より大切なこと

「経営企画室を立ち上げたい」。そう考えるアトツギ経営者の多くは、社内に戦略を描ける人間がいない、現場と経営の間に見えない壁がある、自分一人で考え続けることに限界を感じている——そんな状況に立たされています。経営企画室の目的を調べれば、「中期経営計画の策定」「全社戦略の立案」といった教科書的な答えはすぐに見つかるでしょう。しかし、その答えだけでは動けないから、あなたは今この記事を読んでいるはずです。

結論から言います。経営企画室の本当の目的は、戦略を作ることではありません。社長の頭の中にある構想と、現場で起きている現実を「つなぐ」ことです。翻訳機能と言ってもいい。この接続がなければ、どれほど立派な計画も机上の空論で終わります。

本記事では、経営企画室を設置する目的を一般論と現場論の両面から整理し、地方中小企業が陥りがちな落とし穴、そして立ち上げ時に押さえるべき急所について解説します。

経営企画室の目的は「戦略立案」だけではない

一般的に、経営企画室の目的は「全社戦略の策定」「予算管理」「新規事業の企画」などと説明されます。大手企業であれば、それで機能するかもしれません。専門人材が揃い、各部門に企画担当がいて、数字の共通言語がすでに存在しているからです。

しかし、地方の中小企業で同じことをやろうとすると、途端に空回りします。なぜか。そもそも経営の言葉と現場の言葉が違うからです。社長が「来期は利益率を改善したい」と言ったとき、製造現場は何をすればいいかわからない。営業は「値上げしろということか」と身構える。この翻訳不在こそが、経営企画室が本当に解くべき課題です。

あなたの会社では、社長の方針がそのまま現場の行動に変換されていますか。もし少しでも詰まる感覚があるなら、必要なのは計画書のフォーマットではなく、間に立って言葉を変換する機能です。

中小企業が経営企画室の設置でつまずく3つの落とし穴

落とし穴1:いきなり「計画づくり」から入る

経営企画室を作ると決めた瞬間、中期経営計画の策定に着手するケースは少なくありません。ただ、現場の実態を把握しないまま作った計画は、発表した翌週から形骸化します。計画の前に必要なのは、各部門の本音を聞いて回る泥臭いヒアリングです。古参社員が何を不安に思っているか、若手がどこに閉塞感を覚えているか。その生の声こそが、計画の土台になります。

落とし穴2:社長の「別動隊」になってしまう

経営企画室が社長直轄で動くこと自体は間違いではありません。問題は、現場から「社長のスパイ部隊」と見なされた瞬間に情報が上がらなくなることです。経営企画室の目的を果たすには、経営側にも現場側にも耳の痛いことを言える中立性が求められます。嫌われ役を引き受ける覚悟がなければ、ただの伝書鳩になります。

あなたの会社に、社長にも現場にも本音をぶつけられる人間は何人いるでしょうか。

落とし穴3:採用で解決しようとする

「経営企画ができる人材を採ろう」という発想も危険です。外から来た人間がいきなり現場の信頼を得ることは容易ではありません。かといって、社内の人間だけで回そうとすると、既存の力学に引っ張られて改革の刃が鈍る。採用か内製かの二択ではなく、外部の知見を借りながら社内に機能を根づかせる設計が必要です。

経営企画室が機能するために最初にやるべきこと

立ち上げ初期に最も大切なのは、経営課題の棚卸しでも戦略フレームワークの導入でもありません。「社長が一人で抱えている荷物を、一度テーブルの上に全部出す」ことです。頭の中にだけある構想、言語化されていない危機感、先代から引き継いだ暗黙のルール。これらを可視化しない限り、経営企画室は何を企画すればいいのかわかりません。

私たちが現場で繰り返し目にするのは、社長自身が「自社の強みは何か」と問われて即答できない場面です。それは強みがないのではなく、日常に埋もれて見えなくなっているだけです。長年の取引先が離れない理由、地域で名前が通っている背景——そこには必ず言葉にされていない価値があります。経営企画室の最初の仕事は、その価値を掘り起こして社内の共通言語に変えることです。

あなたが今、頭の中だけで抱えている構想は何ですか。それを言葉にして誰かと共有したのは、いつが最後でしょうか。

まとめ:経営企画室の目的を見誤らないために

  1. 経営企画室の目的は戦略を作ることではなく、経営と現場をつなぐ「翻訳機能」を持つことである
  2. 計画づくりの前に、現場の本音と社長の頭の中を可視化する工程が不可欠である
  3. 外部の知見を借りながら、社内に機能を根づかせる設計で立ち上げるのが現実解である

経営企画室は、組織図に箱を一つ足す話ではありません。社長の孤独を減らし、現場の声を経営に届け、会社の未来を自分たちの言葉で語れるようにする仕組みです。「自分たちなんて」と思う必要はありません。歴史を重ねてきた会社には、まだ言葉になっていない武器が必ずあります。

その武器を一緒に見つけるところから、始めてみませんか。

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