株式会社勝継屋
MENU
Home » 経営コラム » 経営企画室と幹部の関係。縦割り組織に横串を通す人間関係の設計

全ての記事

経営企画室と幹部の関係。縦割り組織に横串を通す人間関係の設計

経営企画室を立ち上げたのに、幹部が協力してくれない。会議で決まったことが現場に降りていかない。あなたがもし今、そんな状況にいるなら、それは「仕組み」の問題ではなく「関係」の問題かもしれません。

経営企画室と幹部の間に必要なのは、指揮命令系統でも権限委譲でもなく、「この人の話なら聞いてみるか」と思わせる人間関係の設計です。組織図の上に線を引くだけでは、縦割りの壁は崩れません。

この記事では、経営企画室が幹部とどう向き合い、どう信頼を積み上げていくのか。教科書には載らない、現場の人間関係づくりの実務をお伝えします。

経営企画室が幹部に嫌われる構造を知る

経営企画室を新設したとき、最初にぶつかる壁は戦略でも予算でもありません。幹部の「誰だお前は」という空気です。とくにアトツギ企業では、先代から長年現場を守ってきた部長・工場長クラスの社員がいます。彼らにとって、突然できた経営企画室は「社長のお気に入りが集まる別動隊」に見えがちです。

一般的には「経営企画室にはトップの後ろ盾が必要だ」と言われます。たしかにそれは前提条件です。しかし現場では、社長の名前を盾にした瞬間に幹部の心のシャッターが降りる場面を何度も見てきました。権限があっても、対話が成立しなければ横串は通りません。

あなたの会社の幹部は、経営企画室に対してどんな目を向けていますか。その視線の温度を正確に測ることが、すべての起点になります。

幹部との関係は「翻訳者」になることで変わる

経営企画室の役割は「伝書鳩」ではない

経営企画室が社長の方針をそのまま幹部に伝えるだけなら、メール一通で済みます。幹部が求めているのは、方針の「意味」です。なぜこの投資が必要なのか。なぜこのタイミングなのか。その判断の背景にある文脈を、幹部の言葉に変換して届けること。これが経営企画室の仕事です。

同時に、幹部が抱える現場の不満や懸念を、社長に伝わる言葉に翻訳する役割もあります。製造部長の「うちは人が足りない」という訴えの裏には、採用の話だけでなく、工程の属人化や評価制度への不信感が隠れていることもあります。その本音を掘り当てて、経営課題として再定義する。ここに経営企画室の存在価値があります。

幹部の「抵抗」を「情報」として読む

幹部が非協力的なとき、つい「あの人は変化を嫌う人だ」とレッテルを貼りたくなります。しかし、抵抗には理由があります。過去に似た取り組みで梯子を外された経験。自分の部署の成果が正当に評価されてこなかった積年の不満。それらを無視して前に進めようとすれば、形だけの協力と水面下のサボタージュが待っています。

あなたは幹部の「反対」の裏にある感情を、最後に聞いたのはいつですか。抵抗を障害物ではなく、組織の現在地を示すシグナルとして読めるかどうか。ここが分かれ道です。

縦割り組織に横串を通す具体的な動き方

横串を通すと言うと、部門横断プロジェクトや定例会議の設置が思い浮かぶかもしれません。もちろんそれも手段のひとつです。ただ、会議体を増やしただけで部門間の壁が溶けた会社を、私たちはほとんど見たことがありません。

現場で実際に機能しているのは、もっと地味な動きです。たとえば、経営企画室の担当者が週に一度、各部門の朝礼に顔を出す。幹部のデスクに立ち寄って五分だけ雑談する。全社会議の前に、幹部一人ひとりに「今回の議題、どう思いますか」と個別に声をかけておく。こうした小さな接触の積み重ねが、いざというとき「まあ、あいつが言うなら聞いてみるか」という土壌をつくります。

大手コンサルが描くような美しいプロジェクト体制図は、社内に信頼関係がすでにある組織で初めて機能します。信頼がまだない段階で必要なのは、フレームワークではなく、足を使った関係構築です。泥臭いですが、これが現実です。

経営企画室が幹部から信頼を得る三つの原則

一つ目は、幹部の実績と歴史に敬意を払うことです。「変えなければならない」と焦る気持ちはわかります。しかし、今の会社が存続しているのは、幹部たちが現場を回し続けてきたからです。その事実を飛ばして改革を語れば、反発は当然です。歴史を否定するのではなく、「あなたたちが積み上げてきたものを、次の形にする」という姿勢が入り口になります。

二つ目は、小さな成果を幹部の手柄にすることです。経営企画室が仕掛けた施策でも、現場で動いたのは幹部とその部下です。成果が出たとき、名前が挙がるべきは現場の人間です。自分の手柄にしたがる経営企画室は、遅かれ早かれ孤立します。

三つ目は、悪い情報ほど早く共有することです。経営企画室が都合の良い数字だけを社長に報告していると、幹部は「あいつらは現場を知らない」と見切りをつけます。あなたの経営企画室は、幹部にとって「味方」ですか、それとも「監視役」ですか。その答えが、組織の未来を決めます。

まとめ:経営企画室と幹部の関係づくりで押さえるべきこと

  1. 経営企画室の最初の仕事は、社長と幹部の間に立つ「翻訳者」になること。権限ではなく対話で横串を通す。
  2. 幹部の抵抗は組織の現在地を示すシグナル。感情の裏にある理由を聞きに行く姿勢が信頼の起点になる。
  3. 会議体やフレームワークの前に、足を使った地味な接触を重ねる。泥臭い関係構築こそが、縦割りを崩す唯一の方法。

組織図に線を引くだけで変わるなら、誰も苦労はしません。経営企画室と幹部の間に信頼という横串が通ったとき、はじめて戦略は現場で動き出します。

一人で抱え込まず、まずは相談から始めてみてください。

無料相談はこちら