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経営企画室が形骸化する会社の特徴。よくある4つのパターン
経営企画室をつくったはずなのに、いつの間にか「何をしているか分からない部署」になっている。そんな形骸化の問題を、あなたも感じていないでしょうか。
経営企画室が形骸化する原因は、人材不足でも予算不足でもありません。多くの場合、「つくり方」と「使い方」の設計を間違えています。箱だけつくって中身を詰めなかった結果、社長の期待と現場の実態がどんどん離れていくのです。
本記事では、経営企画室が形骸化する会社によく見られる4つのパターンを整理し、それぞれの構造的な原因と、私たちが現場で見てきた打ち手の考え方をお伝えします。
パターン1:社長の「便利屋」になっている経営企画室
経営企画室の形骸化で最も多いのが、社長の思いつきを何でも受け止める「便利屋化」です。資料作成、来客対応、補助金の申請、社内イベントの調整。頼まれたことを断れず、本来の機能を果たす時間がなくなっていきます。あなたの会社の経営企画室は、先月どんな仕事に時間を使っていたか、即答できますか。
教科書的には「経営企画室のミッションを明文化せよ」と言われます。しかし現場では、ミッションを書いたところで社長からの突発依頼は止まりません。必要なのは、社長と経営企画室の間に「何を引き受け、何を引き受けないか」の線引きを日常的に擦り合わせる仕組みです。週に一度、15分でいい。その対話がなければ、便利屋からは抜け出せません。
パターン2:現場と断絶した「空中戦」しかしていない
中期経営計画を立て、KPIを設定し、きれいなパワーポイントをつくる。ところが現場の部長や課長に聞くと「あの計画、うちには関係ないと思ってました」と返ってくる。経営企画室が経営層だけを向いて仕事をしている会社では、この断絶が当たり前のように起きています。
一般論では「現場を巻き込め」と言われますが、巻き込むとは具体的に何をすることでしょうか。私たちの経験では、計画の説明会を開くことではありません。現場が困っていることを経営企画室が自分の足で聞きに行き、その声を経営判断に翻訳して届ける。この「横串の翻訳機能」がなければ、どんな立派な計画も現場には届きません。あなたの経営企画室のメンバーは、先週、現場に何回足を運びましたか。
パターン3:古参幹部との力関係で動けなくなっている
アトツギが経営企画室を立ち上げたとき、最大の壁になるのは市場でも技術でもなく、社内の力学です。先代から信頼されてきた古参幹部にとって、新しい部署は「自分たちのやり方を否定する存在」に映ることがあります。表立って反対はしないけれど、情報を出さない、会議に協力しない。静かな抵抗が、経営企画室をじわじわと形骸化させていきます。
この問題に対して「トップダウンで権限を与えればいい」というのは、現場を知らない人のアドバイスです。権限を振りかざせば、古参社員の面子を潰し、組織に亀裂が走ります。泥臭いですが、まずは古参幹部が抱えている業務の負担を経営企画室が一つ引き取ることから始める。「あの部署、意外と使える」という小さな信頼の積み重ねだけが、力関係を変えていきます。あなたは、経営企画室に「嫌われ役を引き受ける覚悟」を持たせていますか。
パターン4:そもそも「誰がやるのか」が決まっていない
経営企画室という看板は掲げたものの、専任者がいない。総務部長が兼務している、あるいは社長自身が実質的に一人でやっている。これでは経営企画室とは名ばかりで、機能するはずがありません。兼務の担当者は日常業務に追われ、経営企画の仕事は常に「後回し」になります。
「優秀な人材を採用すれば解決する」と考える方もいますが、ここには落とし穴があります。外から来た人材は社内の文脈を知らず、現場との関係構築に時間がかかる。かといって社内から抜擢すれば、元の部署に穴が空く。どちらを選んでも、最初の半年は「成果が見えない期間」が続きます。この期間に社長が焦れて介入しすぎると、担当者は萎縮し、形骸化が加速します。立ち上げ期に必要なのは、社長の忍耐と、外部の伴走者による客観的なペースメイクです。
まとめ:経営企画室の形骸化を防ぐために押さえるべき3つの視点
1. 経営企画室の役割と境界線を、社長との対話で繰り返し擦り合わせること
2. 現場との接点を物理的に持ち、「翻訳機能」として横串を通すこと
3. 立ち上げ期の成果が見えない時間に耐え、小さな信頼を積み上げること
経営企画室は、つくった瞬間がゴールではありません。むしろ、つくってからの半年間にどれだけ泥臭く動けるかで、その先の10年が決まります。箱をつくることより、箱に魂を入れることのほうが、何倍も難しい。
もし今、あなたの会社の経営企画室が「あってもなくても同じ」になりかけているなら、立ち止まって設計を見直す時です。一人で抱え込まず、まずは現状を言葉にするところから始めてみてください。