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(仮)砂賀牧場
三代にわたって、同じ牧草地で牛を飼ってきた。
継いだのは、牛だけではなかった。
取材・文:編集部 / 2026.09.25 公開
父の背中ではなく、父の帳面を継いだ。

砂賀 健一
砂賀牧場 三代目 / 38歳
牧場を継ぐと決めたのは、大学を出て一度は東京で働いてからだった。戻ってきて最初に渡されたのは、牛でも牧草地でもなく、祖父の代から続く一冊の帳面だった。そこには天候や飼料の値段、牛一頭ごとの体調まで、几帳面な字で書き込まれていた。数字の裏にある判断の理由までは書かれていない。それは、隣で働く番頭のような古参の従業員だけが覚えていた。継ぐというのは、この帳面と、帳面に載っていない記憶の両方を引き受けることだと、いまは思う。効率だけを追えば規模を広げる道もある。けれど、続いてきた理由を手放したくない。迷いながら、まだ途中を歩いている。
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──まだ、途中。
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