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経営企画室の社内抜擢。誰を選ぶかより、何を任せるかが大事

経営企画室を社内抜擢で立ち上げたい。そう考えたとき、多くのアトツギ経営者がまず悩むのは「誰を選ぶか」です。エース社員か、古参の番頭か、それとも若手の抜擢か。人選のことばかりが頭を占め、夜も眠れない。そんな声を、私たちは何度も聞いてきました。

しかし、経営企画室の社内抜擢で本当に考えるべきは「誰を選ぶか」ではなく「何を任せるか」です。任せる中身が曖昧なまま人を据えると、どんな優秀な人材でも半年で機能不全に陥ります。逆に、任せる仕事の輪郭さえはっきりしていれば、意外な人材が化けることもあります。

この記事では、社内抜擢で経営企画室を立ち上げる際に起きがちな失敗パターンと、「何を任せるか」を先に設計する具体的な考え方、そして抜擢した人材が孤立しないための仕組みづくりについて解説します。

「誰にしよう」から始めると経営企画室が空回りする理由

一般的に、社内抜擢の議論は「あの人なら任せられる」「この人は社歴が長い」という人選の話から始まります。しかし中小企業の現場では、そもそも経営企画室が何をする部署なのか、社長自身がはっきり言語化できていないケースがほとんどです。あなたの会社ではいかがでしょうか。「とりあえず経営に近いことを考えてほしい」という曖昧な期待で人を配置していませんか。

任せる中身が定まらないまま抜擢された人は、何をすれば評価されるのかわからず、既存業務の延長線上で動くか、壮大な資料づくりに走るか、どちらかになります。現場からは「あの人、何してるの」と言われ、社長からは「もっと考えて動いてくれ」と言われる。板挟みのまま、気づけば半年が過ぎている。これは人の問題ではなく、設計の問題です。

社内抜擢の前に決めるべき「任せる仕事」の3つの型

経営企画室に任せる仕事は、大きく3つの型に分けて考えると整理しやすくなります。1つ目は「情報の交通整理」。部門間で散らばっている数字や情報を集め、経営判断に使える形にまとめる仕事です。2つ目は「社長の意思決定の補佐」。社長が判断に迷うテーマについて、選択肢と判断材料を揃える役割です。3つ目は「部門横断プロジェクトの推進」。新規事業や業務改善など、既存の部署だけでは進まない課題を横串で動かす仕事です。

教科書的には3つすべてを経営企画室に担わせるべきとされますが、立ち上げ初期にそれをやると確実に破綻します。まずは1つに絞る。どの型が自社にとって最も緊急度が高いかを見極めてから、人選に入る。この順序を守るだけで、抜擢の成功率は大きく変わります。あなたの会社で今もっとも詰まっているのは、情報の流れですか、意思決定の速度ですか、それとも部門間の壁ですか。

抜擢した人材が「社内で孤立しない」ための仕掛け

古参社員との距離感を設計する

社内抜擢でもっとも厄介なのは、社内の人間関係です。昨日まで同僚だった人が、突然「経営企画室」という看板を背負う。古参社員は「なぜあいつが」と感じ、抜擢された本人は「自分が口を出していいのか」と萎縮する。この温度差を放置すると、経営企画室は社内の孤島になります。

だからこそ、抜擢と同時に「この人は何を任されていて、どこまでの権限があるのか」を社長の口から全社に伝える必要があります。メールや朝礼の一言ではなく、できれば各部門長と個別に話す場を設ける。泥臭い根回しに見えるかもしれませんが、ここを省略した経営企画室が機能した例を、私たちは見たことがありません。

社長自身が「盾」になる覚悟

抜擢した人材が現場に踏み込めば、必ず摩擦が生まれます。そのとき、社長が「自分の指示でやらせている」と明言できるかどうかで、すべてが決まります。あなたは、抜擢した人間が現場で反発を受けたとき、その人の前に立てますか。社内抜擢は、選ぶ覚悟より守る覚悟のほうがはるかに重いのです。

まとめ:経営企画室の社内抜擢を成功させるために

ここまでの内容を3つに整理します。

  1. 人選より先に「何を任せるか」を1つに絞って言語化する
  2. 任せる仕事の型を決めてから、それに合う人材を社内から探す
  3. 抜擢後は権限の範囲を全社に明示し、社長自身が盾になる

経営企画室の立ち上げは、組織図に箱を一つ増やすことではありません。社長が一人で抱えてきた荷物を、信頼できる誰かと分かち合う行為です。その第一歩は、華やかな戦略でも完璧な人選でもなく、「まずこれを頼む」と具体的に伝える、たった一言から始まります。

その一言を、今日決めてみてください。

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