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経営企画室を廃止する前に考えること。問題は機能か人材か

「経営企画室を廃止しようか」。そんな考えが頭をよぎったことはないでしょうか。会議資料をつくるだけの部署、現場から浮いた存在、社長の独り言の受け皿──。機能していない経営企画室を抱え続けるコストと精神的な重さは、あなたが一番わかっているはずです。

結論から言えば、経営企画室の廃止そのものが間違いとは限りません。ただし「なぜ機能しなかったのか」を見誤ったまま廃止すると、同じ問題が社長の肩に戻ってくるだけです。問題の根は「機能の設計」か「人材の配置」か。ここを切り分けずに箱だけ壊しても、何も変わりません。

この記事では、経営企画室の廃止を検討する前に整理すべき3つの視点をお伝えします。機能不全の正体、人材のミスマッチ、そして廃止ではなく「再定義」という選択肢。3分で読める分量にまとめました。

経営企画室が「お飾り」になる構造的な理由

経営企画室がうまく回らない会社には、共通するパターンがあります。立ち上げ時に「何をする部署か」を言語化しないまま、とりあえず箱をつくってしまうケースです。中期経営計画の策定、予算管理、新規事業の調査──。教科書的な役割を並べても、地方の中小企業では日々の受注対応や人繰りが最優先。経営企画室に回す「問い」自体が存在しない状態になります。

もうひとつは、経営企画室が社長の「伝書鳩」になっているパターンです。社長の指示を各部門に伝えるだけ、各部門の数字を社長に報告するだけ。これでは現場から見れば「社長のスパイ」であり、信頼されるはずがありません。あなたの会社の経営企画室は、現場の会議に呼ばれていますか。呼ばれていないなら、それが答えです。

一般論では「経営企画室には優秀な人材を配置せよ」と言われます。しかし現場の実態は逆です。配置する人材の前に、その部署が担う「機能」が定まっていなければ、誰を置いても同じ結果になります。廃止を考える前に、まず機能の設計を疑ってください。

経営企画室の廃止で本当に解決する問題は何か

廃止によって解決する問題は、実はそれほど多くありません。人件費の削減、部門間の摩擦の解消、意思決定スピードの向上──。期待される効果を並べてみると、どれも「経営企画室がなくても別の手段で対処できるもの」か、「経営企画室があっても起きていた問題」のどちらかに分類できます。

たとえば「経営企画室を廃止して社長直轄にする」という判断。これは一見スピーディですが、結局は社長がすべてを抱え直すことを意味します。先代から事業を引き継いだアトツギの方であれば、すでに既存事業の維持と組織の再構築を同時に進めている最中でしょう。そこにさらに横串の機能まで背負えば、判断の質が落ちるのは時間の問題です。

廃止を決断する前に、ひとつだけ自問してみてください。「この部署がなくなったとき、誰がその仕事を引き受けるのか」。答えが「自分」しか出てこないなら、それは廃止ではなく、機能の再設計が必要なサインです。

人材の問題を「仕組み」の問題にすり替えていないか

経営企画室を廃止したい理由を掘り下げると、「担当者が期待どおりに動かない」という人材の問題に行き着くことがあります。ここで注意したいのは、人材の問題と機能の問題を混同しないことです。担当者が動かないのは、能力不足なのか、権限がないのか、それとも社長との信頼関係が築けていないのか。原因によって打ち手はまったく変わります。

私たちが現場で見てきた限り、中小企業の経営企画担当者が最も苦しむのは「古参社員との関係性」です。社長から任命されたというだけで、現場からは「何様だ」という視線を浴びる。数字を集めようとすれば「忙しいのに」と嫌がられる。経営と現場の間に立つ人間は、どうしても孤立します。これは個人の能力ではなく、組織の構造が生む問題です。

人を替えれば解決するのか、仕組みを変えなければ誰が来ても同じなのか。この問いに正直に向き合うことが、廃止か存続かを判断する分岐点になります。

まとめ:経営企画室の廃止を決める前に整理すべき3つのこと

  1. 機能の設計を見直す──「何をする部署か」が曖昧なまま廃止しても、問題は社長の肩に戻るだけ
  2. 廃止後の受け皿を明確にする──横串の機能を誰が担うのか、答えが「自分」だけなら再考の余地がある
  3. 人材の問題か構造の問題かを切り分ける──担当者を孤立させている原因が組織にあるなら、人を替えても繰り返す

経営企画室は、つくるのも壊すのも社長の一言で済みます。だからこそ、その一言の前に立ち止まる時間が必要です。廃止が正解の場合もあります。ただ、箱を壊すのではなく「中身を入れ替える」という選択肢も、まだ残っているはずです。

もし一人で整理しきれないと感じたら、外の人間に壁打ち相手を頼んでみてください。社長室の天井を見上げる夜は、今日で最後にしましょう。

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