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経営企画室を組織に定着させる方法。古参社員を動かす順序

経営企画室を立ち上げたものの、半年も経たないうちに形骸化する。あなたの会社でも、そんな兆候が出ていないでしょうか。新しい部署に対して古参社員が距離を置き、情報が集まらず、やがて「あの部署、何やってるの?」という空気が社内に広がる。地方のアトツギ企業では、この失敗パターンが繰り返されています。

経営企画室の定着を左右するのは、戦略の精度でも、優秀な人材の採用でもありません。古参社員を「どの順番で巻き込むか」という、極めて泥臭い段取りの問題です。順番を間違えた瞬間、組織の免疫反応が発動し、どんな正論も弾き返されます。

本記事では、経営企画室が組織に根を下ろすために必要な「巻き込みの順序」を3つのステップで解説します。教科書的な組織論ではなく、現場で実際に起きる摩擦とその乗り越え方に焦点を当てます。

経営企画室が定着しない本当の原因は「正しさ」にある

経営企画室の立ち上げ直後、多くのアトツギ経営者が陥る罠があります。「正しいことを言えば伝わるはず」という思い込みです。中期経営計画を整え、KPIを設定し、全社会議で発表する。内容は正しい。けれど、翌週から現場の動きは何も変わらない。あなたにも心当たりはないでしょうか。

古参社員が経営企画室を遠ざける理由は、提案の中身ではありません。「自分たちの仕事を否定されるのではないか」という感情です。長年この会社を支えてきた自負がある人ほど、新しい部署の存在を脅威と感じます。正しさは、時に鈍器になるのです。

大手コンサルが入ったケースでも同じことが起きます。分析資料は立派でも、現場が動かなければ紙の束で終わる。経営企画室の定着に必要なのは、正しさの証明ではなく、感情の交通整理です。

古参社員を動かす「巻き込みの順序」は3段階で設計する

第1段階:味方になる一人を見つける

最初にやるべきことは、全員の理解を得ることではありません。たった一人、現場で影響力を持つ古参社員を味方につけることです。この人物は、役職の高さではなく「この人が動けば周囲も動く」という非公式なリーダーであることが条件です。

味方にする方法は単純です。経営企画室の構想を話す前に、その人の仕事の苦労を聞く。現場で抱えている課題を言語化する手伝いをする。「あなたの経験が、この会社の次の一手に必要だ」と伝える。計画書を見せるのは、その後です。

第2段階:小さな成果を「古参社員の手柄」にする

味方を得たら、次は小さな成功体験をつくります。ここで絶対にやってはいけないのが、経営企画室の成果としてアピールすることです。最初の成果は、協力してくれた古参社員の手柄にする。これが鉄則です。

たとえば、現場のデータを整理して業務改善の糸口が見つかったなら、「○○さんが指摘してくれた課題を数字にしただけです」と伝える。経営企画室は黒子に徹する。すると、古参社員の口から「あの部署、意外と使えるぞ」という言葉が自然に広がります。社長が旗を振るより、この一言のほうが組織を動かします。

第3段階:「なくては困る存在」になってから旗を掲げる

経営企画室が独自のビジョンや方針を打ち出すのは、この段階まで待ちます。現場から「あの部署に相談しよう」という流れが自然にできてから、初めて全社的な戦略提案に踏み込む。順番が逆だと、どれほど優れた戦略でも「机上の空論」と片づけられます。あなたの経営企画室は、今どの段階にいますか。

経営企画室の定着を阻む「社長の孤独」という壁

もう一つ、見落とされがちな定着阻害要因があります。経営企画室の方針が「社長の意向」としか見られない状態です。アトツギ企業では特に、「あれは社長が勝手に始めたこと」という空気が生まれやすい。古参社員からすれば、先代の時代にはなかった部署です。距離を置くのは、ある意味で自然な反応とも言えます。

だからこそ、経営企画室には社長と現場の「翻訳機能」が求められます。社長の危機感を現場の言葉に変換し、現場の不満を経営課題として社長に届ける。この双方向の翻訳ができて初めて、経営企画室は組織の中で居場所を獲得します。

この翻訳役を社長自身が兼ねるのは、構造的に無理があります。社長の言葉は、どうしても「指示」に聞こえる。第三者が間に入るからこそ、伝わる言葉になる場面は少なくありません。あなたの会社に、その翻訳者はいますか。

まとめ:経営企画室を定着させる3つの順序

経営企画室を組織に根づかせるために押さえるべきポイントを整理します。

  1. 最初に全員を説得しようとしない。現場の非公式リーダーを一人、味方につけることから始める
  2. 初期の成果は経営企画室の手柄にしない。古参社員の功績として広める
  3. 戦略の旗を掲げるのは、現場から頼られる存在になってから。順番を守る

経営企画室の定着は、派手な戦略発表ではなく、地味な信頼の積み重ねで決まります。正しいことを言う前に、正しい順番で人を動かす。その順序設計こそが、アトツギ経営者に求められる技術です。

もし一人で抱えているなら、最初の一歩を一緒に踏み出しましょう。

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