経営コラム
経営企画室を外注する。固定費ゼロで機能を手に入れる選択肢
「経営企画室が必要だとわかっている。でも、専任を一人雇う余裕がない」。地方の中小企業を継いだアトツギ経営者なら、一度はこの壁にぶつかったことがあるはずです。社長が一人で数字を見て、資料をつくり、銀行対応もして、現場のもめごとにも顔を出す。経営企画室の外注という選択肢を知らないまま、気づけば社長室が「何でも屋」になっていないでしょうか。
結論から言います。経営企画室は、社内に正社員を置かなくても機能させられます。固定費ゼロで、必要な時期に必要な分だけ経営企画の機能を外から持ち込む。これは妥協ではなく、地方中小企業にとって合理的な戦い方です。
本記事では、経営企画室を外注するとはどういうことか、なぜ「採用」ではなく「外注」が現実解になるのか、そして外注先を選ぶときに見落とされがちな判断基準について解説します。
そもそも経営企画室とは何をする場所なのか
経営企画室と聞くと、中期経営計画をつくる部署を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、地方の中小企業で本当に求められている機能は、もっと泥臭いものです。部門間で止まっている情報を流す。社長の頭の中にしかない方針を、現場が動ける言葉に翻訳する。数字と感情の両面から、組織の「詰まり」を解消する。これが経営企画室の本質です。
あなたの会社では、社長が直接すべての部門に指示を出していませんか。製造と営業の間に溝があることに気づいていても、間に立つ人がいない。その「間に立つ機能」こそが経営企画室であり、立派な計画書をつくることが仕事ではありません。
経営企画の人材を「採用」する前に知っておくべき現実
採用には二つの地獄がある
一つ目は「採れない地獄」です。経営企画の経験者は、そもそも転職市場に多くありません。地方勤務で、中小企業の経営全般に関われる人材となると、候補者の数は極端に絞られます。求人を出して半年、一年と待ち続ける間に、社長の体力と組織の課題だけが積み上がっていきます。
二つ目は「採れたけど機能しない地獄」です。大手出身の経験者を迎えたものの、古参社員との間に見えない壁ができる。現場は「よそ者が何を言っているんだ」と身構え、本人は「なぜ誰も動かないのか」と孤立する。結局、高い給与を払いながら社内に居場所をつくれず退職。このパターンは、教科書には載っていません。しかし、地方の承継企業では繰り返し起きています。
外注という選択が合理的な理由
経営企画室を外注するとは、機能だけを必要な期間・必要な粒度で社外から調達することです。月に数日の稼働でも、社長と現場の間に「横串」を通す人間がいるだけで、組織の動き方は変わります。固定費としての人件費が発生しないため、売上の波がある中小企業でもキャッシュフローを圧迫しません。外注だからこそ、社内のしがらみに縛られず、社長が言いにくいことを代わりに伝える役割も担えます。
経営企画室の外注先を選ぶときに見るべきポイント
外注先の選定で最も見落とされがちなのは、「現場に入る覚悟があるかどうか」です。レポートを納品して終わりのコンサルティングと、社員と同じ目線で会議に出て、ときに嫌われ役を引き受ける外注とでは、組織に残るものがまったく違います。あなたが求めているのは、綺麗な資料ですか。それとも、現場が動き出すきっかけですか。
もう一つの判断基準は、「いなくなった後に何が残るか」です。外注である以上、いつかは離れます。そのとき、社内に経営企画の考え方や仕組みが根づいているかどうか。依存させるのではなく、自走できる状態をつくることを前提にしている相手を選んでください。報告書の枚数や肩書きではなく、「撤退後の姿」を語れるかどうかが、信頼に足る外注先の条件です。
まとめ:経営企画室の外注で、社長の孤独を機能に変える
- 経営企画室の本質は計画策定ではなく、社長と現場の間に横串を通す「翻訳機能」である
- 採用には「採れない地獄」と「機能しない地獄」があり、外注は固定費ゼロでその両方を回避できる
- 外注先は、現場に入る覚悟と、撤退後に自走できる仕組みを残す姿勢で選ぶ
経営企画室がないまま走り続けることは、社長が一人で地図を描きながら運転しているようなものです。助手席に誰かを乗せるだけで、見える景色は変わります。
「自分たちの規模では無理だ」と思い込んでいたその機能、外から持ち込むという手があります。まずは一度、話してみてください。