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経営録

2025.05.23

M&A会社一覧|地方企業が知っておくべきM&A会社9選

1. はじめに

地方の中小企業が抱える大きな課題として、「後継者不在」「人材不足」「事業承継の悩み」などが挙げられます。人口減少の進行に伴って、地域市場の先行きにも不安が募る中、**M&A(企業の合併・買収)**という選択肢を真剣に考える地方企業が増えつつあります。たとえば、「自社を引き継ぐ後継者がいないので、外部へ売却したい」「海外や都会の企業を買収して人材や技術を獲得したい」といったニーズです。

しかし、実際にM&Aを進めるには専門的な知識や人脈が必要であり、自社だけでは難しい面も多々あります。そこで頼りになるのがM&A仲介会社・アドバイザリー会社です。企業同士をマッチングしたり、買収プロセスをサポートしてくれたり、事業承継スキームを提案してくれたりと、多岐にわたるサポートを提供しています。

本記事では、地方企業が知っておくべきM&A会社を9社ピックアップし、それぞれの特徴を紹介します。大手企業から中堅クラス、地方や中小に強みを持つ会社まで幅広く選んでみました。自社に合ったパートナーを選ぶ際の参考としていただければ幸いです。(2025年5月時点の情報)

2. なぜ地方企業がM&A会社を活用すべきなのか?

2-1. 後継者問題や人材不足を解決する手段

地方企業では経営者の高齢化が進んでおり、後継者がいないまま事業継続が危ういケースが増えています。また、若い人材が都市部へ流出し、新規事業やデジタル化に取り組みたいが社内で担い手がいないという問題も。こうしたときに外部の買い手を見つける、あるいは自社が外部の企業を買収して技術・人材を一挙に獲得するといったM&A戦略が有効です。

2-2. M&Aに必要な専門性・ネットワークを補える

M&Aは法務・税務・会計など複雑な知識が必要であり、市場や業界の相場観、相手先企業探しのネットワークも重要です。地方企業が独力で全国の候補を探したり、契約条件をまとめたりするのは容易ではありません。M&A会社を活用することで、それらの専門家やマッチング力を借りられ、スムーズに契約を進めることが可能になります。

2-3. 中立的なアドバイスでリスクを回避

大手企業どうしのM&Aほど大掛かりでなくても、中小企業・地方企業のM&Aにはやはりリスクやトラブルの可能性があります。経営者個人の思い込みだけで進めると、「想定外の債務があった」「社内の反発が強く事業統合がうまくいかない」など問題が起きがち。M&A会社が間に入ることで、デューデリジェンス(詳細調査)や**PMI(買収後の統合)**などを総合的にサポートしてくれます。

3. M&A会社一覧:地方企業が知っておきたい9選

ここからが本題です。地方企業にとっても有益なサポートを提供している、あるいは全国対応が可能で実績が豊富なM&A会社を9社ピックアップしました。大手から中堅、事業承継に特化した会社まで幅広く紹介します。

3-1. 日本M&Aセンター

概要と特徴

  • 業界最大手クラスのM&A仲介会社。東証プライム上場企業。
  • 中堅・中小企業の事業承継型M&Aを中心に、多くの成約実績を誇る。
  • 全国各地に支店を持ち、地方銀行や士業との連携ネットワークが強い。

地方企業向けメリット

  • 地域金融機関とのパイプを活用し、地元同士のM&Aをサポート
  • 豊富な実績から事業承継のノウハウが蓄積されており、後継者問題の解決にも強い

注意点

  • 業界大手ゆえに、案件数が多く担当者によって対応にばらつきがあるとの声も。
  • 手数料体系がやや高めという指摘もあるが、大手ブランドの安心感が強み。

3-2. M&Aキャピタルパートナーズ

概要と特徴

  • M&A仲介業界で大手の1社。東証プライム上場。
  • 中小企業から比較的大きめの企業まで幅広く対応。
  • 成約数・成約金額ともに業界上位の実績。

地方企業向けメリット

  • 成約実績が多いため、買い手・売り手のマッチング力が高い
  • 経営者への対応が丁寧との評価あり

注意点

  • 大手である分、より大きな案件を優先する傾向があるという見方もある。
  • 小規模すぎる案件だと敬遠される可能性があるため、まず事前相談を。

3-3. M&A総合研究所

概要と特徴

  • 比較的新興のM&A仲介会社。オンライン完結型のサービスや、AIによるマッチングなどを打ち出している。
  • 手数料体系が明確で、着手金無料・成功報酬型を採用していることが多い。

地方企業向けメリット

  • デジタル化を推進しているため、地理的に遠方でもオンラインで進めやすい
  • HP上で企業評価額の簡易診断など、気軽に利用できるツールを提供

注意点

  • 従来の大手仲介会社と比べると、まだ実績年数が浅い面がある。
  • AIマッチングがうまく機能するかは案件内容によるため、要確認。

3-4. STRIKE(ストライク)

概要と特徴

  • 東証プライム上場のM&A仲介会社。「瞬間接続MA」と呼ばれる独自システムで、買い手・売り手のスピーディなマッチングを強みとしている。
  • 従業員数の少ない中小から上場企業まで幅広く対応。

地方企業向けメリット

  • 独自のマッチングプラットフォームにより、地方企業でも全国的な買い手を探しやすい
  • M&Aニュースや事例紹介も豊富で、情報収集に役立つ

注意点

  • システムを使ったマッチング重視のため、じっくり時間をかけて相談したい場合は担当者との相性を要確認。

3-5. アドバイザリー会社:EYトランザクションアドバイザリー

概要と特徴

  • 世界4大会計事務所の一角、EY(アーンスト・アンド・ヤング)のM&Aアドバイザリーチーム。
  • グローバル規模の専門家ネットワークを活かし、大企業から中堅・中小まで幅広い領域をカバー。

地方企業向けメリット

  • 海外展開やクロスボーダーM&Aを視野に入れる場合、グローバル対応が強み
  • 財務・税務・法務などを一体的にサポートできる体制を持つ

注意点

  • 基本的に大きな案件やグローバル案件が中心。小規模な地方企業の場合、費用対効果を考慮しないと割高に感じるかもしれない。

3-6. PwCアドバイザリー

概要と特徴

  • 世界的なコンサル・監査法人グループ、PwCの日本法人が提供するM&Aアドバイザリーサービス。
  • デューデリジェンスやPMIなどトランザクション全般をワンストップで支援。

地方企業向けメリット

  • 高度な財務・税務サポートが得られる
  • PMO支援や企業価値向上コンサルなど、買収後も継続的にフォロー可能

注意点

  • ビッグ4系の料金水準は高め。企業規模が小さすぎるとマッチしにくい。
  • 都市部中心の対応がメインであり、地方拠点は限られる。

3-7. 中小企業向け事業承継特化:東京中小企業投資育成

概要と特徴

  • 中小企業に特化した投資・育成機関。公的色があるため、資本参加型のM&Aや事業承継をサポート。
  • 営利目的だけでなく、中小企業の存続と成長を目指すスタンスが特徴。

地方企業向けメリット

  • 事業承継における株式引き受けや、MBO(経営陣による買収)のサポートなどが得意
  • 地方で後継者難の企業でも、支援実績がある

注意点

  • 投資育成の基準や審査があるため、すべての企業が対象となるわけではない
  • M&A仲介というよりも、公的支援に近いフローを踏む場合がある

3-8. 事業承継支援に定評:後継者バンク(事業引継ぎ支援センター)

概要と特徴

  • 中小企業庁による公的機関「事業引継ぎ支援センター」が各都道府県に設置されている。
  • 無料で事業引継ぎの相談やマッチングを行っており、後継者バンクを運営しているケースも。

地方企業向けメリット

  • 公的サービスのため、基本無料で相談できる
  • 地元のセンターなら地域事情に詳しく、安心感がある

注意点

  • あくまで公的機関のため、成約までの詳細サポートは民間の仲介会社ほど手厚くない可能性がある
  • 小規模な事業承継が中心で、大型案件には不向きの場合も

3-9. レコフ

概要と特徴

  • 日本で古くからM&Aアドバイザリーを手がける有力企業。大手・中堅を中心に、多様な業種での実績がある。
  • 海外とも連携したクロスボーダー案件や上場企業のM&Aに強い。

地方企業向けメリット

  • 長い歴史と豊富な事例に基づくコンサルティングが受けられる
  • 地方金融機関とも提携実績があり、中堅~大きめの地方企業のM&Aにも対応可能

注意点

  • 案件規模が比較的大きいことが多く、ごく小規模のM&Aには向かないことがある
  • 費用はやや高額になりやすい

4. M&A会社選びのポイント

4-1. 自社の課題とマッチした専門性

上記で紹介した会社はあくまでも一例であり、最適なM&Aパートナーは企業ごとに異なります。まずは自社の目的(事業承継か、事業拡大か、人材確保か)や業種領域を明確にし、その分野に強みを持つM&A会社を探しましょう。

4-2. 手数料体系とサービス範囲

仲介手数料や着手金、成功報酬など、M&A会社の料金体系はまちまちです。成果報酬型を好む会社もあれば、着手金+成功報酬という形が基本の会社も。サービス範囲(デューデリジェンス、PMI支援、評価算定など)を含めて、コストパフォーマンスを比較検討すると良いでしょう。

4-3. コミットラインを設定し、透明性を確保

M&A仲介やアドバイザリーをお願いする際には、「どこまで責任を持って支援してくれるのか」を明確にする、コミットラインの設定が大事です。とくに地方企業に馴染みが薄い“企業買収”のプロセスでは、不誠実な業者に遭遇すると後で苦労することもあります。

  • デューデリジェンスは誰が行う?
  • 候補企業の選定は何社くらい提示してもらえる?
  • 成約までのスケジュール感は?
  • 成約後のPMI支援はどの程度やってくれる?

こうした項目を事前に合意し、書面で残しておくとよいでしょう。

5. まとめ:地方企業はM&A会社を上手に活用して、さらなる飛躍を

人口減少や後継者不在、人材不足など、地方企業が直面する課題は増す一方です。従来の延長線上の経営だけでは乗り越えられない局面において、M&A(合併・買収)が強力な打ち手となり得ます。自社を売却して事業承継を果たすか、あるいは都心企業を買収し、一挙に人材・技術を取り込むか、アプローチはさまざまですが、いずれもM&A仲介やアドバイザリー会社の存在が鍵を握ります。

M&Aは「大企業がやるもの」と思われがちですが、今や地方企業こそが生き残り・成長のために積極的に活用すべき経営戦略となっています。自社のビジョンに合わせて、どのようなM&Aが有効かを検討し、最適なパートナー企業(M&A会社)と協力して次のステージへ進む――それが地方企業の未来を切り開く大きな一歩になるはずです。