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経営録

2025.04.30

クライアントに喜ばれる議事録のとり方

クライアントとの打ち合わせ後に作成する議事録は、双方の認識をすり合わせ、次のアクションを明確化し、プロジェクトを円滑に進めるうえで重要です。しかし「とりあえずメモを取ってテキストに起こすだけ」では、クライアントから不満が出たり、後々のトラブル原因になったりする場合もあります。本記事では、クライアントに喜ばれる議事録を作成するためのポイントを、事前準備から実践的なテクニック、納品後のフォローアップまで総合的に解説します。

1. なぜ議事録が大切なのか?

1-1. 認識の齟齬を防ぎ、信頼関係を築く

プロジェクトにおける打ち合わせや会議での決定事項を文章化し、クライアントと共有するのが議事録です。もし議事録が存在しなければ、お互いが口頭で話した内容を曖昧に記憶し、「そんな話、言いましたっけ?」「いや、確かに話題に挙がったはずだ」といったトラブルが発生しやすくなります。

逆に、適切にまとめられた議事録があれば、後日参照することで双方の認識を揃え、追加要件や変更点をスムーズに管理できます。特にクライアントとのやり取りが多い仕事では、議事録が信頼関係を支える土台と言っても過言ではありません。

1-2. 責任範囲やタスクを明確化する

議事録には、誰が何をいつまでに行うかが明確に記されるべきです。もし議事録がなく、打ち合わせの段階で決まったタスクや納期が不透明なままだと、後になって「そんなことをやるとは思わなかった」「期日がわからなかった」という混乱が生じます。クライアントに喜ばれる議事録とは、タスクの担当者と期限がしっかり整理されていることが大前提です。

1-3. 後工程や他メンバーへの情報共有

打ち合わせに参加できなかった社内メンバーや別部署のスタッフにも、議事録を共有すれば話の流れを把握でき、スムーズに業務を引き継げるというメリットがあります。クライアントの要求や要望をチーム全体で共有することで、プロジェクト全体がスピード感を持って進行できるでしょう。

2. 議事録作成の基本ステップ

クライアントに喜ばれる議事録を作成するには、打ち合わせの前から後まで一貫したプロセスが必要です。まずは基本的なステップを押さえましょう。

2-1. 事前準備:ゴールとアジェンダの確認

打ち合わせに臨む前に、以下のポイントを整理しておくと、議事録を効率よくまとめられます。

  1. 目的・ゴール: 今回の打ち合わせで何を決めるのか?何を確認したいのか?
  2. アジェンダ(議題): あらかじめ議題をリストアップし、優先度を確かめておく
  3. 必要な資料・情報: 議事録に反映させるための資料(仕様書、企画書、デザイン案など)を準備

これを怠ると、打ち合わせ中に話が散漫になり、議事録にまとめづらい混沌とした内容になりがちです。

2-2. 打ち合わせ中のメモ取りとリアルタイム要約

会議や打ち合わせの最中は、以下の2つの作業を意識的に行います。

  1. 細かい発言や意見のメモ: 後から拾うために記録を残す
  2. リアルタイムで要点をまとめる: 話の区切りごとに「結論」「アクション」「理由」を整理

ただし、書き漏れのないように全発言を逐一書き起こすのではなく、要点を捉えつつ話の流れを把握することが大切。クライアントが特に強調した部分や社内担当者が疑問を呈した部分など、重要度が高いものはキーワードをしっかり残しておきましょう。

2-3. 会議終了直後の整理

打ち合わせが終わった直後、できるだけ早い段階でメモを見直し、要点を整理する時間を確保します。時間が空くと記憶が薄れ、微妙なニュアンスが失われる可能性があります。

  • 会議終了後15〜30分以内に、メモを見ながら議事録の骨子を作成
  • 担当者や期限、合意事項などを一旦書き出し、漏れをチェック

このプロセスを踏むだけでも、仕上がりのクオリティが大きく変わります。

2-4. 完成後の共有とフィードバック

議事録を仕上げたら、クライアントや関係メンバーに共有し、確認を取ります。

ここで早めに「この点は違う認識でした」「ここは補足してください」というフィードバックを得られれば、後の誤解やトラブルを防げます。クライアントは「誤記をすぐに修正してくれた」「共有が早い」といった対応に好印象を持ちやすいです。

3. クライアントに喜ばれる議事録のポイント

3-1. 読みやすい構成・レイアウト

議事録を送る相手は、必ずしも時間に余裕のある人ばかりではありません。一目で内容が理解できる構成にすることが大切です。

  • 表紙・タイトル: 会議名・日時・担当者などを明記
  • 概要(Summary): 最初に結論や合意事項を数行でまとめる
  • 詳細(トピック別): 議題ごとに見出しをつけ、話し合いのポイント・決定事項を箇条書き
  • アクションリスト: 誰が・何を・いつまでに、という担当と締め切りをまとめる

必要に応じて図や表を使うと、文字の羅列を避け、ビジュアル的に理解しやすくなります。

3-2. 要点を短く・簡潔にまとめる

クライアントは議事録を読み込む時間が限られているかもしれません。議論の全発言を長文で書き連ねるのではなく、結論→根拠→タスク→担当・期限という流れで簡潔に要約するのが好まれます。

  • ×: 「◯◯さんが『この機能を追加しないとユーザーが離れるのでは』と懸念。△△さんは『それにはコストがかかる』と反対。どうすべきか議論が紛糾……(長文続く)」
  • 〇: 「(1)機能Aの必要性→ユーザー離脱リスクがあるため検討必要。ただしコスト面で懸念あり (2)今後1週間で試算し、次回MTGで結論を出す (担当:△△、締切:XX/YY)」

このように結果とアクションを端的にまとめれば、忙しいクライアントも内容をすぐ把握できます。

3-3. 客観性・正確性を保つ

議事録はあくまでも事実や決定事項を共有する書類であり、作成者の主観的な意見が混ざりすぎないよう注意が必要です。もし自分の提案や見解を入れる場合は、はっきり「提案」や「補足意見」と分かる形で書きましょう。クライアント側から見ると、「議事録に書いてあるからそれが合意事項だと思っていた」と誤解を招くと厄介です。

3-4. タスク・期限・担当を必ず明示

クライアントに喜ばれる議事録の条件として、「次に何をすればいいのか」が一目で分かることが挙げられます。タスクやアクション項目が明確になっていれば、クライアント側も「対応してもらうべきこと」「自分たちがやるべきこと」を整理しやすいです。

これが曖昧だと、結局後から「誰がやるんだっけ?」「期限が決まってない」という状態になり、追加のやり取りや納期遅延などが発生してクライアントの不満を招きます。

3-5. 迅速な共有

議事録は迅速に共有するほど感謝されます。打ち合わせ翌日には送付するのが理想ですが、もし難しい場合でも「いつまでに送付できるか」をあらかじめ伝え、その通りに出すよう心がけましょう。クライアントが受け取るのを待っているケースもあるため、先延ばしにするとその間に別のことが進まず、印象を損なう可能性があります。

4. 事前準備をより充実させる方法

4-1. 打ち合わせ前にアジェンダを共有

クライアントに喜ばれる議事録を作るためには、まず議事が整理された打ち合わせを実現する必要があります。打ち合わせ前にアジェンダ(議題)をクライアントに送付し、どんなテーマを話し合うのかを共有しておくと、当日の会話がスムーズに進み、議事録も取りやすくなるでしょう。

  • 例: 「今回の議題:①サイトデザインの確認、②機能追加要件の整理、③納期再調整」

4-2. 資料や文書の位置づけを明確に

打ち合わせに使う資料が多数あるときは、それぞれが何を意図した文書かを明確にしておきます。仕様書、企画案、スケジュール表などが混在すると、議事録の段階でどの資料がどんな役割を果たすのか分かりにくくなります。あらかじめ資料一覧をまとめておけば、議事録に「仕様書Aのページ3を参照」など正確に紐づけられます。

4-3. 誰がファシリテーションを行うか

議事録作成者とファシリテーター(会議進行役)が同一人物だと、集中しにくい場合があります。可能ならファシリテーターと議事録担当を分けると良いでしょう。打ち合わせを円滑に進行する人がアジェンダに沿って話を制御し、議事録担当が要点を記録することで、それぞれの役割が明確になり、クライアントにもメリットが大きいです。

5. リモート会議やオンライン打ち合わせでの注意点

現代ではリモート会議やオンライン打ち合わせも多く、議事録の取り方においても少し違った工夫が必要になります。

5-1. 音声のラグ・聞き取りミス

オンライン会議ではネット回線の影響で音声が途切れたり、複数人が同時に話したりして聞き取りにくい場面が生じます。議事録担当は、無理せず「すみません、今のもう一度お願いできますか」と確認し、確実に重要な発言をキャッチするようにしましょう。

5-2. 画面共有やチャットを活用

オンラインでは、画面共有やチャット機能を使うのが一般的です。チャットに書き込まれた情報を適切にコピー・ペーストして議事録に反映するのは便利です。また、画面共有で共同編集ツール(Googleドキュメントなど)を使えば、リアルタイムで参加者が議事録をチェックできるため、修正や補足がその場で行えるメリットがあります。

5-3. オンラインならではの共有タイミング

打ち合わせが終わった直後、オンライン会議が終わるまさにその時点で議事録の骨子を共有し、参加者全員に確認してもらうやり方もあります。クライアントに「この内容で合意ですね?」とリアルタイムに確認することで、後からの齟齬を最小限に抑えられます。

6. 議事録を活かすアフターフォロー

6-1. 次回打ち合わせ前に前回議事録を再送

クライアントとの打ち合わせが定期的にある場合、次回のミーティング前に前回の議事録を再度送付すると効果的です。人は記憶を薄れやすいので、「前回これを決めましたが、進捗はいかがでしょう?」とリマインドすることで、タスクの遅延や認識のズレを防げます。

6-2. アクションアイテムの進捗管理

議事録で整理したアクションアイテム(担当・期限)がきちんと進捗しているかを継続的に追うことも大事です。Excelやタスク管理ツールを使ってリスト化し、クライアントと共有のうえ、完了したらチェックを入れる形にすると透明性が高まります。クライアントは「このチームはタスク管理がしっかりしている」と信頼してくれます。

6-3. ステークホルダーへの広い共有

クライアントが複数の部門や別の上司に議事録を見せる可能性もあります。プロジェクトが大きい場合、利害関係者全体が議事録を読みやすく、要点を把握しやすい形でまとめておくと、社内調整や意思決定がスムーズに進みます。結果、クライアントから「非常に助かった」と喜ばれるわけです。

7. クライアントに喜ばれる議事録を実践するメリット

7-1. 信頼度アップ

しっかりとした議事録を迅速に提出する企業や担当者は、「仕事が丁寧で早い」という印象をクライアントに与えます。プロジェクト全体の印象が良くなり、追加案件や長期的な取引に繋がる可能性が高まります。

7-2. トラブル回避・コスト削減

議事録が整備されていれば、後から「言った・言わない」の水掛け論を避けられ、追加作業や修正のコストを大幅に抑えられます。万一意見の相違があったとしても、議事録をベースに話し合えば解決がスムーズです。

7-3. 自社の内部コミュニケーション向上

議事録はクライアント向けだけでなく、社内の連携強化にも役立ちます。プロジェクトメンバー同士が共通認識を持ちやすくなり、新人や後から参加したメンバーにも過去の経緯を共有しやすいメリットがあります。

8. まとめ:議事録は「プロの仕事」としてクライアントの信頼を得る

議事録は一見地味な作業に思われがちですが、プロジェクト全体の品質とクライアント満足度を大きく左右する重要なツールです。ここをおろそかにすると、せっかくの提案やアイデアもかすんでしまい、結果的に信頼を得られず、追加依頼やリピート案件を失う恐れがあります。

逆に、議事録をきちんと取るだけで「この担当者・チームは仕事がしっかりしている」と評価されることは多々あります。クライアントへの対応で差別化するうえでも、“一流の議事録作成”を習得して実践すれば、競合他社と明確に差をつけられるでしょう。