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経営録

2025.05.12

若手は日程調整で差をつけよう

1. はじめに

新卒や若手社員にとって、最初に任される仕事のひとつが「日程調整」です。上司や先輩、他部署のメンバー、場合によっては社外取引先まで含めて「ミーティングや商談などのスケジュールを組む」という作業は、一見すると地味で単純なタスクに思えるかもしれません。

しかし、この“日程調整”こそが、ビジネススキルの基礎力を大きく左右します。なぜなら、日程調整には「仕事の優先順位を把握する」「複数の利害関係者との調整力を発揮する」「限られた時間をどう使うかというタイムマネジメント能力が求められる」といった、多くの要素が詰まっているからです。

実は、先輩社員や経営者の中には「若手が書くメールの一文や日程調整のやり方」から、仕事の進め方や段取り力、そして気配りの度合いを敏感に察知する人は少なくありません。そんな“日程調整”ひとつでも、できる若手とそうでない若手の差は、意外なほど表面化してしまうのです。

2. なぜ日程調整が若手にとってのチャンスなのか

2-1. 基本的な“段取り力”をアピールできる

日程調整は、会社によっては総務やアシスタント業務と位置づけられることが多いですが、実は以下のようなスキルが求められる重要なタスクです。

  • 相手の立場を考慮する力
    上司の多忙さや、取引先のスケジュールを加味して、最適な候補日や時間帯を提案する配慮が必要
  • 優先順位の見極め
    多数の案件が走るなかで、「どれが緊急度・重要度が高いか」を判断しながら予定を組む
  • コミュニケーション力
    メールやチャットで“失礼のない言い方”かつ“わかりやすい表現”でやりとりする必要がある

日程調整がスムーズにできる人は、社内外問わず「この人、仕事ができそうだな」「連絡が丁寧で安心感があるな」とポジティブな印象を与えられます。逆に、日程調整で手間取ったり失礼があったりすると、「基本的な段取り力に不安がある人」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。

2-2. 若手ならではのフットワークが活きる

上司や先輩は、営業や企画、プロジェクト管理などのコア業務を抱えており、細かい日程調整をスピーディにこなす余裕がないことも多いです。そんなときに「◯◯の件、もう候補日を複数用意して先方とすり合わせました!」と報告できる若手がいれば、周囲から「頼りになる」と評価されるのは当然でしょう。

さらに、スケジュールの重複や時間帯のズレをいち早く察知し、手を打つことができれば、「気が利くな」というプラス評価にも直結します。実はこうした細やかな気配りやフットワークこそ、若手が組織内で重宝される大きなポイントなのです。

2-3. 小さな業務であっても“成果”がすぐ現れる

大規模なプロジェクトや高度な企画業務とは違い、日程調整は結果がすぐにわかります。「○月○日の午前10時から打ち合わせを設定しました。先方にも日程のご了承をいただいています!」というように、早ければ当日や翌日にはタスクが完了し、相手からもフィードバックが得られます。

成功体験が積み上がるので、モチベーションを保ちやすい点も魅力です。細やかなコミュニケーションと確認作業によって上手くいけば、自然と自信がついてきます。若手であっても、“やればできる”ことを実感しやすいのが日程調整の良いところなのです。

3. 日程調整がうまくいかない典型パターン

3-1. 候補日を1つだけ提示する

相手の予定を優先する意識が足りないと、「上司が空いているのはこの日だけだから…」と1日しか候補日を出さない」といった事態が起きがちです。しかし、当然ながら相手も忙しい可能性が高く、その1日が埋まっているかもしれません。相手への配慮が欠けた一方的な日程提示は、むしろ二度手間・三度手間を誘発します。

3-2. 関係者のスケジュールを把握せず、あとで揉める

上司Aと先輩B、取引先Cの三者の日程を調整する際、Aの空き時間だけ確認して満足してしまい、「Bは午後から出張だった…」「Cは午前しか対応できなかった…」など、後になって分かった事実で計画が崩れるケースはよくあります。事前に全関係者の予定を整理していないと、何度もスケジュールを組み直すハメに。

3-3. コミュニケーションが曖昧、返信が遅い

若手が陥りやすい失敗として、メールやチャットで「○○の件、来週はいかがでしょうか?」などざっくりした問い合わせだけで送り、相手から「来週のどの曜日、どの時間帯がいいの?」と再質問されるパターンがあります。こうなると返信が往復して時間がかかるうえに、相手にも“細かい配慮が足りない人”という印象を与えてしまいます。

また、「○○日のAMでお願いします」と返事をもらったにもかかわらず、自分がすぐに返信せず放置してしまい、相手が「あの話、どうなった?」と不安になる、というミスも目立ちます。

3-4. 書き方や敬語が失礼・意味不明

日程を打診するときの文章が「よろしくお願いします〜」「了解です^ ^」と、ビジネスの場にそぐわない軽い表現だったり、逆に硬すぎる敬語を使って何を言いたいのか分かりにくかったりすると、相手を混乱させるだけでなく「社会人としてのマナーに疎い」と思われかねません。

4. 日程調整で差をつける具体的なステップ

4-1. 全関係者の希望日程・条件を“まず”洗い出す

調整が必要な人(上司・チームメンバー・取引先など)が複数いる場合、最初に行うべきは「それぞれの希望条件(いつが望ましいか、何時間程度必要か、オンラインか対面か等)を一覧化する」ことです。単に空いている日時を聞くだけではなく、「いつにしなければならない理由」「難しい時間帯」を同時にメモしておくと後の段取りがスムーズになります。

4-2. 相手に提示する候補日は“複数”用意

自社の上司や自分自身の予定だけ先に固めてしまうのではなく、相手に選択肢をいくつか渡せるように配慮します。たとえば「①○月○日(火)10:00-11:00 ②○月○日(水)14:00-15:00 ③○月○日(金)10:00-11:00」と具体的に3つほど提案し、相手が選びやすいようにしてあげるとベスト。可能なら時間帯だけでなく、場所や手段(オンライン・オフライン)にもバリエーションを持たせて提示すると、先方の都合に合わせやすくなります。

4-3. 「自分が空いている時間ではなく、相手が動きやすい時間」を軸に考える

特に外部の取引先やクライアントと調整する場合は、「自分が楽な時間」ではなく「相手が動きやすい時間帯」を優先的に考慮しましょう。もちろん業務都合で難しい場合もありますが、できる限り相手ファーストの姿勢を示すことで「誠実さ」「配慮がある」といったイメージを与えることができます。これは若手に限らず、ビジネス全般で重要なスタンスです。

4-4. 事前に上司の“タイムテーブル”を確認し、余裕を持たせる

上司や先輩のスケジュールを押さえる際、直前まで他のミーティングが入っていないか、移動時間が必要かなども考慮してあげましょう。前の打ち合わせが長引いた場合のクッション時間を見込むのも大切です。タイトなスケジューリングをしてしまうと、上司本人が苦労するだけでなく、取引先とのミーティングに遅刻・ドタキャンといったトラブルにもつながりかねません。

4-5. “確定したら即”社内外へ共有

候補日を相手に提案し、確定の返信を得たらその時点で関係者全員に確定情報を流すのが鉄則です。加えて、ミーティングルームの予約やオンライン会議システムのURL発行など、必要な手配も抜け漏れなく行いましょう。特にオンライン会議の場合は、URLを見落としがないよう、本文にわかりやすく明記することが重要です。

5. 若手でもできる!おすすめツールとテクニック

5-1. カレンダー共有ツールの活用

GoogleカレンダーやOutlookなど、会社全体でスケジュールを共有できるシステムがあれば積極的に活用します。上司やチームメンバーの予定を“仮押さえ”しておき、外部の相手にはあらためて候補日を確認する、という流れがスムーズです。予定の重複を防ぎやすくなるだけでなく、他の人のアポイント状況も把握しやすいため、より合理的な日程調整が可能となります。

5-2. ミーティング調整専用ツール

複数の相手との日程調整が発生しやすい場合は、Calendlyや調整さんなどの“ミーティング調整ツール”を使うのも手です。自分が設定した可能な時間枠をあらかじめツール上に提示して、相手が空いているところにチェックを入れてもらうだけで自動的に日程が確定する仕組みになっています。

取引先との信頼関係がすでに確立している場合など、「ツールで簡単にやり取りしていいですか?」と確認のうえ導入してみると、メールのやり取りを減らせるメリットがあります。

5-3. テンプレート文の整備

若手ほど、日程調整メールを書くたびに「これで失礼じゃないか…」と悩むことが多いでしょう。そこで、先輩や上司が使っている文面を参考に、自分なりの日程調整テンプレートを作っておくと便利です。最初は文面をコピーしただけでも、だんだんと使い慣れてきたら自分の言葉で微調整し、よりわかりやすい表現に変えていきましょう。

6. 上司・先輩・社外の相手別:日程調整のコツ

6-1. 社内の上司・先輩の場合

  • メールorチャット連絡の前に、まず口頭で確認できる場合は最短ルートを
    上司のデスクがすぐ近くにあるなら、「◯◯の件で日程調整を進めたいのですが、ご都合いかがでしょう?」と声をかけるだけで完結するかもしれません。過度に形式張る必要はなく、相手のスタイルに合わせたコミュニケーションを。
  • 上司の時間を奪わないよう“候補をしぼった上で確認”
    「いつが空いていますか?」ではなく、「来週の火曜と金曜の午前でしたら確保できそうですがいかがでしょうか?」など、Yes/Noで答えやすい提案をするだけで、相手の負担を軽減できます。

6-2. 他部署・他チームのメンバーの場合

  • 社内全体の業務カレンダーやプロジェクト管理ツールを参照
    大規模な会社では、他部署がどのプロジェクトでいつ忙しいかを把握していないケースも多々あります。まずは全体のスケジュール感を見て、相手が繁忙期に入っていないタイミングを狙うなど、一歩先を読んだ調整ができると好印象です。
  • “急ぎ度合い”を明確に伝える
    こちらが「至急で打ち合わせたい案件です」と思っていても、相手は「そうでもなさそうだけど…」と捉えている可能性があります。優先度や緊急度をサラッと一言添えると、相手も予定調整の際に配慮してくれやすくなります。

6-3. 社外・取引先の場合

  • 丁寧な文章・敬語を徹底
    社内以上に、社外へ送るメールは礼儀正しい文章を心がけましょう。とはいえ固すぎる敬語も堅苦しく感じさせる場合があるので、「平易だけど失礼にならない表現」をバランスよく使います。
  • 相手企業の休日や休業期間をリサーチ
    取引先によっては「土日休み」とは限らず、「月曜が定休日」「水曜がノー残業デー」など独自の休暇制度を敷いているケースがあります。先方の業態や業界特性を把握しないまま候補日を提示すると、相手から「その日は休みなんですが…」という返信を受けて二度手間になる可能性も。
  • “時差”や“遠方”にも配慮
    オンラインミーティングが普及したことで、地方や海外のクライアントと打ち合わせする機会がある若手も多いでしょう。時差や移動距離を考慮し、先方の業務時間に配慮した時間設定を行うと、「こっちの状況をよく考えてくれてるな」と好感度が上がります。

7. スケジュール交渉が発生しやすい実例

7-1. 社内プロジェクトのキックオフミーティング

プロジェクトメンバーが5人以上になると、一人でも都合が合わない人がいるだけで調整が難航しがちです。そんなときに、“いまチーム全員が抱えている業務”や“それぞれの締め切り日”を洗い出し、最も無理のない候補日を提案できる若手は重宝されます。

7-2. 取引先との定例ミーティング

定期的に行われる打ち合わせでも、時間帯や回数が固定化されすぎるとマンネリ化し、出席率が下がるケースがあります。そこで、相手の業務状況が変わったタイミングで「日程・頻度を見直したいのですが、ご都合いかがでしょう?」と提案できると、相手にも喜ばれることが多いです。

7-3. 社員面談や研修日程の調整

人事部門に配属された若手であれば、新入社員のフォロー面談や研修スケジュールを組む機会も多いでしょう。研修講師を外部から呼ぶ場合は、その講師の稼働日や予算調整も絡んでくるため、早め早めのアクションが重要。“いくつかの候補日と予備案まで準備しておく”とスムーズです。

8. まとめ:日程調整は“信頼構築”の第一歩

若手にとって日程調整というタスクは、決して「雑用」ではありません。むしろ、対人調整の基礎力を総合的に試される場でもあり、細やかな気配りや段取り力をアピールできる“チャンス”なのです。

  • 複数候補日・明確な時間帯を提示して、相手が選びやすいようにする
  • 自社メンバーだけでなく、外部相手のスケジュールや業界事情にも配慮する
  • 確定情報はすばやく共有し、ミーティングURLや会場手配を抜け漏れなく
  • スケジュールに余裕をもたせ、相手にストレスを与えない
  • システムやツールを活用し、メール文面のテンプレートを用意しておく

こうした小さな工夫が積み重なるほど、周囲からは「仕事が早い・丁寧な人」「頼れる存在だ」という信頼を獲得でき、後々のキャリアにもプラスに作用します。とりわけ上司や先輩と毎日顔を合わせる職場環境では、ちょっとしたメール文面や日程調整のやりとりが、確実にあなたの“ビジネス力”の評価に繋がっているのです。

ぜひ、「たかが日程調整、されど日程調整」という気概を持って、スムーズかつ相手目線に立ったスケジュール管理を実践してみてください。小さな一歩が、あなた自身の成長と社内外の信頼獲得に大きな影響をもたらします。若手だからこそできるフットワークや柔軟性をフルに活かして、日程調整ひとつで周りと差をつけましょう。